再生医療では幹細胞の培養上清からエクソソームを作っていくわけですが、この規格が今まで野放しでした。
今後はこのエクソソームの規格が再生医療学会で定義され、再生医療の細胞加工物と同じようにきちんと作っていかねばならない、といったような厳しい基準が設けられると思います。
実際に新潟大学から肝硬変に対してのエクソソーム治療、変形性膝関節症へのエクソソーム治療、重症リンパ浮腫へのエクソソーム治療が発表されていましたがどれも幹細胞以上に非常に効いているという報告がありました。こちらも併せて今後期待ができると思います。
我々の乳歯歯髄幹細胞から取るエクソソームに関しても、どんどん来年以降も研究発表していきたいと思っています。
ところで、抗加齢との関係・個体老化と再生医療についての発表の中で、ハダカデバネズミについての面白い研究結果が見られました。
ハダカデバネズミというのは育てにくい生き物なのですが、熊本大学のデバ研というところではなんとハダカデバネズミを700匹まで増やし徹底的に研究しています。
ハダカデバネズミの特徴は、長寿で癌ができないということです。
小さいネズミであれば普通は1年ぐらいで死ぬのですが、ハダカデバネズミは37年生きます。
(アメリカグーグルのカリコという会社がその解明に何億円も使っており、それについて今後色々と分かってくると思われます。)
普通のマウスに化学発癌物質を皮膚に塗ると必ずガンが発症するのですが、ハダカデバネズミは全く発症しないということが研究で分かりました。
熊本大学の三浦京子先生曰く、ハダカデバネズミに化学物質を塗っても全く炎症細胞が起こらないのです。
しかし普通のネズミはそこに炎症細胞が蓄積し、炎症を起き惹起して、もちろん抑えるような物質も出て治っていくわけですが、最終的にガンになるのです。
ところがハダカデバネズミなどは全く白血球は行かず、炎症を起こしません。
以上の事から、ガンは実は炎症疾患かもしれないということが分かります。
炎症をずっと抑えておけばがんは出来にくいということ。
例えば細菌やウイルスが入ってきた時は炎症を起こさないと治らないのですが、凄いことにハダカデバネズミはそれに対する免疫があります。
そういうウイルスとか細菌はちゃんと免疫働くんだけど余計な免疫働かないそれで長生きしています。
ところでSGFという過剰な炎症を抑える薬が以前からあるのですが、炎症を抑えることが人間にとっても長生きするにあたって重要な事であるならば、もしかしたらSGFはその夢を叶える凄い薬なでのではないかと考えています。
(2021年3月古賀チャンネルより)